【第一回・せあの生んだパンキャラによるパンキャラのパンキャラ大座談会開始!!!　3】
※女の戦いとBLについて語っております(笑)




「自己紹介の次は、各パンについて詳しく知っていこうという企画がある」
「企画!?これ、企画なの!?」
「当然だ、シナモンロール。ではお前から行こうか」
「結構よ!!!」

シナモンロールの叫びを無視し、ピロシキはごそごそと物音を立て、封筒を取り出した。
「マル秘」とありがちな文字が書かれたその封筒から、一枚の写真が中央に置かれた。



「…っ!!!　ちょ、ちょっとこれいつ撮ったのよ!?」

シナモンロールが写真を取り上げる前にデニッシュが写真を手に取る。
にやりと笑ってからクロワッサンへ、そしてピロシキのもとへと返された。

「コレは数日前の彼女だ。見ていなくとも大丈夫だぞ」

そう言ってピロシキがぱちん、と指を鳴らす。
とたんに室内は薄暗くなり、各パン達が座る席の目の前に映像が浮かび上がった。

「すげっ!!!金かかってんなァ!!!!」
「ナイススティック、バカな発言はやめろと言ったでしょう。それに、ここに擬人化してる僕らが
集まっている時点であり得ないんだからいまさら何が起こっても驚かないよ」
「ミニスナックゴールド、元も子もないこと言うな…」
「おや、失礼」

にっこりと笑顔で答えるミニスナックゴールドの横顔を見つめつつ、ナイススティックは再び
画面に視線を落とした。
シナモンロールは諦めたのか、無言で画面を見つめていた。

「見てわかるだろうが、彼女は背後にいるコーヒーという人物としか慣れ合わない。
この男に話を聞いたところ、『彼女の魅力は大人にしか分からないんだよ』だそうだ」
「か、カッコイイわ、コーヒー様」

クロワッサンの賞賛を聞き、項垂れていたシナモンロールが立ち上がった。

「ちょっと!!コーヒーはアタシのモノよ!!!カッコイイとかアンタみたいな小娘が軽々しく口にすんじゃ
無いわよ!!!小娘はミルクとでもつるんでなさい!!」
「な、なんですって?」

腕を組んでそっぽを向いてしまったシナモンロールの背中を見つめ、クロワッサンが立ち上がる。

「黙って聞いてれば好き勝手言ってくれちゃって…!!大体小娘なんて言われたくないわよ!!!
私はミルクなんかとつるまないわ!!私にはカフェがいるもの!!」
「カフェだって十分お子様だわ!!　アタシはお子様とは付き合えないの。出直してらっしゃい」
「シナモンロールぅぅ」
「何か御用かしら?」

にっこり笑顔で答えるシナモンロールと怒りでこぶしを震わせるクロワッサンの間に挟まれ、
デニッシュは困惑する。

「お、おいピロシキ!!!話を進めてくれないか!?」
「いいじゃないか。面白いから」
「それもそうですね」

ピロシキの隣でこくりと頷くベーグルと心底楽しそうに笑うピロシキを交互に見やり、デニッシュは
話を進める前に席替えをしてほしいと心から思うのだった…

「表に出なさい、小娘。大人の女っていうのを教えてあげるわ」
「望むところよ!!」
「お、おいクロワッサン!!シナモンロールも、大人の女だと言い張るなら引け!!」

外へ出ようとする二人を慌てて止めるデニッシュを二人が同時に振り返って一瞥。
その冷たいまなざしに、デニッシュは動きを止めた。

「煩いわね、このヘタレデニッシュが」
「へっ、ヘタレ!?」

クロワッサンの口から飛び出した言葉にデニッシュが目を丸くする。

「大人の女である前に一人の女なのよ。女として引けるわけないじゃない。男は引っ込んでなさい。
アンタはボウヤだしね」
「ぼ、ボウヤ…」

シナモンロールの言葉が胸に突き刺さり、デニッシュに深い心の傷を負わせる。
二人はさっさと室内を飛び出し、残されたデニッシュは力なく席に戻った。

「…では、話を進めるか」

ピロシキはにやりと笑いながら書類を取り出した。

「ビアンカとハニートースト、キミ達は少しの間別室でお茶を楽しんでくれないか?」

ピロシキに突然そう言われ、隣同士の二人は顔を見合わせる。
男だらけの室内に二人だけの女も辛いモノがあったが、それ以上に人数が多すぎて息苦しさを
感じているところだったのだ。

こくりと頷き、二人はピロシキに指示された扉の奥へと消えたのだった。

「…どういうつもりです?」
「まぁまぁベーグル。キミは、いや、キミ達は根本的な事を忘れているよ」
「根本的?」

ピロシキは再びあの黒い笑みを浮かべる。
そして封筒から一枚の写真を取り出し、その室内にいた一人が大声をあげた。

「お、おいぃぃぃ!!!!!　これいつ撮ったんだよ!!!!!」

「落ちつけよ、コロッケパン少年。いいかい?この擬人化パン、元をただせばこういう世界をネタにしたものだったんだよ?　当然突っ込むに決まってるだろう」

何故か自慢げにそう口にするピロシキを見て、コロッケパンの中にあるナニカのスイッチが入る。
ほんの少しだけ俯き、再び顔をあげたときのコロッケパンは別人だった。

「…まぁそれもそうだ。なんだ?何が知りたい」
「彼の名前とか」
「こいつは焼きそばパンだ。おれとこいつは同じ学校で、おれが転校したばかりだから制服が違う」
「なるほどね。馴れ初めはどんな感じだ?」
「初めは何かと突っかかってくる煩いヤツだったが、だんだんと可愛くなってきた。言動から何から
おれを誘っているとしか思えなくなって…ちなみにこの写真のあとが初夜だ」
「やるねぇ、キミも」

腕を組んで笑みをこぼすコロッケパンの表情は余裕あふれる「攻めの顔(ピロシキ談)」だった。

「なるほどね。それじゃあ僕らも紹介すべきかな」
「なんでだよ!!おれを見んなァ!!!!!」

にやりと怪しい笑みを浮かべる男と、思い切り否定して首を振りまくる男…
はたしてこの二人はいったい誰なのか。


「それじゃ、また明日ね」
「この状態で延ばすな!!!!!」

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