【第一回・せあの生んだパンキャラによるパンキャラのパンキャラ大座談会開始!!!　2】



「…というわけで」

ピロシキが席に着き、咳払いをする。
ベーグルの指示に従い、ハンバーガーはヴェジーの隣の空席に座った。

「今回集まってもらった理由、それはただ一つだ」
「大座談会、というくらいだから話をしろ、という事なのだろうな」
「その通り。さすがプレッツェル」

プレッツェルはふん、と腕を組んで視線をそらす。
そんな無愛想な男の隣で、シナモンロールが深いため息をついた。

「アタシ、馴れ合いって嫌いなのよねぇ」
「それなら僕だって同じですよ。この男の隣に座っているだけでも腹が立つ」
「こらこらヴェジー!!兄に向ってそんな口のきき方はなんだ!?お兄さん怒るぞ☆」
「煩い」
「ピロシキ、こんな調子で本当にそんな事が出来ると思うのか?」

ベーグルの言葉に、ピロシキはにやりと笑う。
その怪しい笑みを見て、シナモンロールが口を開く。

「何よ、その顔」
「この座談会をきちんとやらない者は、その姿を失う。つまり、ただのパンに戻って
その姿を忘れ去られる運命にある、という事だそうだ」

ピロシキの言葉を聞き、言い合いをしていたハンバーガーとヴェジー、その他の者達が
口を閉ざした。

「忘れているようだが、この座談会は『せあの生んだ』とある。生むも消すも、せあ次第という事だ」
「ピロシキさん、黒い」

思わず漏らしたピッツァの言葉に、ピロシキは冷たい笑みを浮かべて答えた。

「じゃ、じゃあとりあえず自己紹介でもしてみる？」

シナモンロールの提案に全員がうなずき、ピロシキが立ち上がった。

「僕から行こう。僕はロシアのピロシキ、という者だ。今回進行役となった。よろしく頼む。
ではこのまま時計回りに行こう」

す、と手を差し出され、隣に座っていた少女がこくりと頷いて立ち上がった。

「どうも初めまして、皆さん。クロワッサンと申します。生まれはフランスです。
兄はサンドイッチ、弟はショコラとアーモンドがおります。以後、お見知り置きを」

クロワッサンはにっこりとほほ笑み、席に着く。
そして、隣に座っていた男が立ち上がった。

「デニッシュだ。このクロワッサンとは親せき関係になるが、生まれはデンマークだ」

短い説明を終え、デニッシュが席に着いた。

「次はアタシね。シナモンロールよ。アタシは馴れ合いが嫌い。名前を呼ぶのは構わないけど、
親しくなるつもりはないわ」

凛とした雰囲気を漂わせ、シナモンロールはそう言い放った。

「おれはプレッツェルだ。生まれはドイツ。以上だ」

プレッツェルは億劫そうにそう言い、すぐに席に着いた。
隣に座っていたブレザーの少年は少しだけためらい、立ち上がる。

「コロッケパン、生まれは日本。よろしく」

ぺこ、と頭を下げて席に着く。
ほんの少し頬を赤らめているのを見ると、どうやら照れ屋らしい。

「おれの名前はナイススティック!!!よろしくなっ!!!」

今までの流れを変えるかのように、ナイススティックは明るく言い放ち、笑顔を振りまく。
ピースサインをしてから席に着き、隣に座っていた男がため息をついた。

「初めまして、ミニスナックゴールドと言います。このバカと同じ場所で生まれました。
どうぞよろしくお願いします」
「おい、バカってなんだよ!!」

ナイススティックの文句を聞き流し、ミニスナックゴールドはにっこりと笑顔を浮かべて席に着いた。

「あ、あの、私はナン、と申します。インドのパンですが、本国ではあまり一般的ではありません」

ナンは恐縮しながら席に着く。
体は大きいが、どうやら控え目な性格らしい。

「初めましてっ!!僕の名前はピッツァでーす。生まれはイタリアでー、って…え？」

隣に座っていた色白の少女がピッツァの服の裾を引っ張り、何かつぶやく。
それを聞いてピッツァは苦笑しながら口を開いた。

「えっと、こっちは僕の双子の妹、ビアンカって言います。照れ屋さんでごめんね」

ピッツァはにっこりと笑い、ビアンカは座ったままぺこりと頭を下げた。

「ああああのっ!!!は、ハニートーストですっ」

勢いよく立ちあがり、早口で言い放ち、すぐさま席に着く。
赤い顔をして俯いたハニートーストに少し驚き、隣の少年が立ち上がった。

「ヴェジーと言います。兄と一緒にしてほしくありませんので、絶対に間違えないでください」

絶対、を強調し、ヴェジーは席に着く。
ヴェジーの自己紹介に苦笑しながら、隣の男が立ち上がった。

「おれはハンバーガーだぜっ!!!ヴェジーの兄で、みんなの兄貴っ!!よろしく頼むぜ!!!」
「騒がしい。さっさと座れ」

ハンバーガーの肩を押しやるようにして、隣の男が立ち上がる。

「ベーグル、という名だ。アメリカで好まれている。よろしく」

ベーグルの自己紹介が終わり、ピロシキが再び立ち上がる。
一同を見回し、こくりと頷いた。

「これで全員終わったね。それじゃあ次は…」

ピロシキの口から何が言い渡されるかと全員が注目する中、ピロシキは言い放った。

「また明日」
「またかよッッ!!!!!」



今回は自己紹介のみ。
明日から、パン達の本音に迫ります…たぶん。

 

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