【第一回・せあの生んだパンキャラによるパンキャラのパンキャラ大座談会開始!!!　4】



「僕らも発表すべきだね」

そう言って席を立つミニスナックゴールドは、隣で唖然とするナイススティックににっこりと
笑いかけて言い放った。

「何を隠そう、僕らもそういう関係だ」
「どういう関係だ!!!」
「そうだろうとは思っていたぞ、ミニスナックゴールド」

ピロシキはにやりと笑って見せたが、ナイススティックは泣きそうな顔をしている。
そんな彼を横目で見つつ、ミニスナックゴールドは懐から一枚の写真を取り出した。

「コレが普段の僕らだ」



「おいおいおい!!!いつのだよコレ!!!つーか何セリフ書き込んでんの!?」
「事実なんだからいいだろ」
「良くねぇよ!!!」

ナイススティックが半泣きでミニスナックゴールドに詰め寄る中、黙っていたベーグルが口を開いた。

「ピロシキ、この場合はナイススティックがツンデレという事になるのか?」
「そうなるだろうな」
「ならねえ!!!ツンデレって、おれがいつこいつにデレた!?」
「おいおいナイススティック…そんな事まで説明するつもりか?」
「もう黙れ!!!」

ベーグルは腕を組み、首をひねる。
そんな彼に、ハンバーガーが声をかけた。

「どうしたって言うんだい?ベーグル」
「いや…この二人を見ていると別の二人が浮かび上がるんだ」
「別の?　いったい誰だ?」

ハンバーガーの問いに、騒いでいたナイススティックまで黙る。
一同が注目する中、ベーグルは短い息を吐いてから言い放った。

「お前とヴェジーだ」
「えぇぇぇ!?　ちょ、嫌ですよ!!!何言ってるんですかアンタは!!!」
「HAHAHA!!!　禁断の愛ってヤツだね☆」
「ふざけるな!!!」

ヴェジーのツッコミに、ベーグルはこそり、とピロシキにささやく。

「ホラ、な」
「ふむ」
「違う!!!断じて違います!!!!!」
「気付かなくて悪かったよ、ヴェジー…これからは心を入れ替え」
「なくていい!!!　今まで通りの方がマシだ!!!」

今度はヴェジーが泣きそうになる中、その光景をじっと見つめていたピッツァが問うた。

「ねぇヴェジーくん。そんなに否定するってことは、ヴェジーくんには好きな人がいるの?」
「えっ」

一気に顔を赤く染めるヴェジーを見て、今度は全員が黙る。
ピッツァだけが陽気に笑顔を浮かべていたが、ピロシキは明らかに黒い笑みを浮かべている。

「ピッツァ、キミはいい質問を投げかけたね」
「え、本当?」
「どうなんだ?ヴェジー」

ピロシキに問い詰められ、ヴェジーは顔を赤らめたまま逆に聞き返した。

「そっ、そんな事人に聞く前にご自分の事を話されてはいかがですか!?」
「僕か?　僕には生涯を共に歩むと誓ったボルシチという男がいるのでな」
「男かよ」
「悪いか?ナン、キミならわかってくれるだろう?」
「はいっ!?　いえっ、その……はい、わかり、ます」

ナンは突然話題を振られた事で驚いてはいたものの、脳裏に浮かぶカレーの事を想い、
こくりと頷く。
ピロシキは「今度はお前の番だ」と言わんばかりの表情でヴェジーを見つめた。

「ぼ、僕は……」

ヴェジーの視線が、ベーグルに向かう。
だが、当の本人はいまだに言い合っているミニスナックゴールドとナイススティックの観察を続けて
いる。

ヴェジーはため息を吐き、言った。

「僕の好きな人はクロワッサン嬢です。一目惚れです」
「ほう?」

ピロシキはヴェジーの視線の動きをきちんと見ていたのだが、部屋の入口を見て笑みを浮かべる。
物音がして全員が視線を向けると、そこには戦いから戻ったらしい二人の女の姿があった。

「い、今の……本当、ですか」
「くっ、クロワッサン嬢?!」

ヴェジーは勢いよく立ちあがる。
少し髪が乱れてはいるものの、それ以上に赤い顔が目立つ。

そんな二人を交互に見て、デニッシュが立ち上がる。

「まっ、待て待て!!!　勝手に何を……っ」
「少し黙れ、デニッシュ坊や」
「むぐっ!?」

プレッツェルに抑えつけられ、デニッシュは身動きが取れなくなる。
そんなデニッシュには一切目もくれず、クロワッサンはヴェジーをじっと見つめる。

「本当、ですか…?」

問われたヴェジーは、「誤魔化す為につい言っちゃいましたァ!!」なんて言えば殺される
だろうと言うのが目に見えていたので、心の中で謝りながらうなずいた。

「は、はい…」
「ヴェジーさん…」

一瞬、甘い香りが室内に漂う。
一同がじっと見守る中、クロワッサンの口から答えが言い放たれた。

「ごめんなさい。私、たくましい方が好きなんです」
「え…」
「どちらかといえばお兄様のハンバーガーさんの方が好きかもしれません。ホントにごめんなさい」
「嬉しいねぇ!!!ありがとう、クロワッサン嬢☆」

ぺこりと頭を下げ、放心状態のヴェジーを放置してクロワッサンは席に戻る。
一安心したデニッシュはプレッツェルの腕から解放されて戻ってきたクロワッサンに声をかける。

「若いうちはいろいろあるものよ」

シナモンロールにぽん、と肩をたたかれ、ヴェジーは泣きたくなった。

誤魔化すためのウソだったとはいえ、兄の方が好みだと言われてフラれた自分の情けなさに。
本当の想い人に少しも気づいてもらえないむなしさに。

「く、そぉぉぉ!!!」
「ヴェジーが燃えてる」
「どうしたんだろうね!?」
「まぁ、本人だけが知るってヤツだよ」

事情をわかりきっているピロシキはにっこりと笑ってベーグルの肩を叩く。
別室にいたハニートーストとビアンカを呼び寄せ、言い放った。

「さて、名残惜しいが第一回目の座談会はこれで終了だ。これでお開きだが、各自で楽しんでくれ」

ピロシキがパン、と手を打つのを合図に、各々が席を立つ。
さまざまなパン達が会話を楽しんでいる光景を見て、ピロシキは「姿は違えど、同じ種族」だという事を
改めて思い知るのだった……



そして、第二回目はきっと開かれない……



明日からはパン達それぞれの会話に迫ります(笑)

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