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【僕らの日常。 青山編】
「おはよ、青山」
「…オハ、ヨウ?」
「え?なんで疑問系?」
最近僕の世界に、一人の住人が加わった。
彼はとてもいい音を奏でる。
歩いていても、笑っていても、心の底から感情を出しているから。
「恭ちゃん、風強いから、今日は学食にしようってじゅんが言ってた」
「そうなの?僕、学食初めてだ」
そんな些細なことでも嬉しそうに笑う彼の横顔を眺め、僕はずいぶん昔の記憶を蘇らせた。
僕がまだ、みんなに「ようちゃん」と呼ばれていた頃…
「青山?どうかしたの」
声をかけられ、はっとする。
顔を覗き込む彼は、心底心配している、という表情で僕を見つめた。
「なんでもないよ。早く行こう。遅刻しちゃうから」
「あっ!ホントだ」
チャイムのメロディは好きじゃない。
あの音一つで嬉しかったり、哀しかったり、感情の起伏が激しくなるから。
「昼、楽しみだね、青山」
にっこりと笑い、彼は言う。
「…そうだね」
笑顔になることはまだ難しくても、彼と一緒にいるときは、素直に感情を出せるようになったのかもしれない。
だってホラ、こんなに楽しいから。