僕らの日常。
2010/02/10 10:57:45
諸事情により、昨日更新できなかった恭ちゃんの不幸日記(笑)
本日は番外編も一緒に更新しますっ
衝撃のチーム結成から早四日。
くれはが合成写真やら映像やら作りやがり、何故か女子達の間でファンクラブが生み出された。
あぁ、神様…
平凡な日々を送る、と言うのはそんなに難しく、わがままな願いでしたか?
「恭ちゃん」
無感情の声で突然呼び止められ、振り返る。
そこにはいつも以上に無表情の青山の姿があった。
「どうかした?」
「疲れた」
僕と同じクラスなのは快とじゅんじゅん。
くれは・青山もそれぞれ別のクラスなのだが、どこにいたって扱いと言うか、向けられる視線は同じらしい。
「グリーンって呼ばれてるんだけど」
「あぁ…僕もだよ。恭ちゃんピンクって…」
同時にため息を吐いて項垂れた直後だった。
グラウンドの方からものすごい音が響き、僕らは顔を見合わせる。
ちょうどグラウンドが見える教室の外にいたので、飛び込み、窓から外の様子を窺う。
「お、恭ちゃんに青山」
「じゅんじゅん!」
「何、今の音」
「さぁ」
ここは生物室らしく、じゅんじゅんがひらひらと手を振りながら机に教科書を置く。
その後で僕らと窓を覗き込み、深く後悔した。
「…くれは」
なにやらマントを羽織ったくれはが、グラウンドで腕を組み、仁王立ちしている。
門にはガラの悪そうな一団がおり、もしかしなくてもまさかの展開が待っていた。
「テメー、昨日はよくもやりやがったな!」
ボス的な男がそう叫び、周りの子分達が口々にそうだ、そうだとわめきだす。
くれはが何か問題を起こしたのは言うまでもないが、何をしたのかは一切謎だ。
「アイツ、なんかやったのか」
「知らないよ」
じゅんじゅんと青山がそういうのだから、僕が知るわけが無い。
再びくれはの方へ目を向けた瞬間、ばっちり視線がぶつかってしまった。
「げ」
「あ」
「う」
僕だけでなく、じゅんじゅんと青山も同じらしい。
ちらちらと視線を動かし、くれははなにやらにやりと笑う。
「昨日と違って、今日のアタシには味方がいるわっ!」
「…おい、味方って快のことだよな」
「そうだと願いたい」
「同じく」
そんな僕らの願いもむなしく、くれはは得意げに言い放った。
「さぁ、集まるのよ!なじみーず!!!」
「…集まれ、だって。どうすんの」
「後のくれはは怖いぞ」
青山とじゅんじゅんがこそこそと相談し、顔を見合わせてため息。
僕のほうを向き、目で合図。
「逃げられないって事ね」
「「正解」」
近くにいた生徒達に囃し立てられながら、僕らはとぼとぼと廊下を行く。
途中で快と合流したけど、快は快で楽しそうだ。
「堂々と喧嘩ができるなんてサイコーじゃねぇか」
そんな風に思えるのは、快だけです。
なんだかいつもより早く着いてしまったかのような感覚に苦しみつつ、目の前で殺気を放つ集団とその元凶を交互に見やる。
快に殴られるのは嫌だけど、向こうにいた方がマシに思えた。
「ねぇ、これからどうするのさ」
「決まってるでしょ。悪をブチのめすのよ!」
僕にとってはくれはも悪だ。
「んじゃ、いっくぜぇぇぇ」
バキ、と指を鳴らしつつ、快は集団へ向かって歩いていく。
青山とじゅんじゅんはそれをため息を吐きながら見送り、くれはにいたっては遠く離れた安全地帯で手を振っている。
「がんばってぇ」
「…っておい!オメーは戦わねーのかい!!!」
「当然!アタシはみんなのアイドルよ?」
迷惑極まりない存在など、アイドルどころか悪魔だ。
にっこりと笑うくれはは、まさに悪魔。
ちょっと目を離している隙に、すでに快の足元には死屍累々が広がっている。
満足そうな表情を浮かべ、快は言い放つ。
「もっと強くなってから出直すんだな!」
か、カッコイー!!!
「はい、カットォ!ご苦労様。いい映像が撮れたわー」
「…え?」
僕の声には一切反応せず、くれははいつの間にやら手にしていたカメラを持ってさっさとその場から立ち去る。
快達三人もどうやら諦めたらしく、特に何を言うでもなく転がる集団に背を向けた。
残されるのは嫌だ。
一緒にされるのはもっと嫌だ。
そう思いつつも、僕の足は四人とともに学校内へと進むのだった…
後日。
見覚えのある合成戦隊モノ映像が昼休みに上映され、ストラップなどのグッズが購買で売られているのを見た。
僕、もう学校辞めたいです。