なんで!?
2009/12/21 19:31:44
こんばんは、せあです
アクセス解析、びっくり
中国からお越しになられたのかな…?
漢字の変換ができないんだけど、調べたら中国語で「漫画」という意味の言葉プラス「seahoney」の文字
なんで…?
思い当たる節がないんですけど(笑)
すげぇなぁ…
伊砂ちゃんがブログで引っ張り出してきたという短編小説を公開なさっていたのを見て、「そういえば最近小説のフォルダ片づけてねーな」と思い立ち、いろいろ見ているうちにものっそいモノ発見(笑)
ファイル名が『近い将来』
なんだろうかと思ったら、姉ちゃんと弟の短編小説でした
おそらく長編になるであろうモノだったらしいんだけど、短編として成立してるっぽい
…つーか、え?
近い将来ってどういうことなのよ? 私はこんなダメ女にはなりませんわ!!!!!
と、宣言しつつさらします(笑)
姉は、昔から横暴だった。
そして、男運がなかった。
高校に入ってからいろんな男と付き合い、長くて半年で恋の終わりを迎える。
そしてまた付き合い、別れる。
ずっとその繰り返しなのだ。
身内の僕から見ても可愛い、というか美人な姉だ。
言いよってくる男はたくさんいる。
それでも、姉の内側を垣間見ては幻滅し、去ってゆくのだ。
・・・そんな不幸な姉が、新しい男と出会った。
それは、幸せの始まりなのか、それとも・・・・・・
【僕と姉と牛犬と。】
「涼~っ!またふられたよー!!」
「はいはい、今度はなんだって?その最低男は」
「あたしの酒癖の悪さには付き合えないって言うのー!知らないわよそんな事はァッ!」
「はは・・・」
酒癖の悪さか。
確かに・・・最悪だ。
美人である事しか取り柄のない僕の姉、杏。
今年二十三歳の美容師である。
弟の僕は中学三年生の受験生。
姉とは違って秀才だから(教師談)、なんら心配はないらしい。
両親が海外出張をしている人たちだから、僕は姉に養ってもらっている。
その姉が、今年に入ってすでに四度目の失恋を嘆いている。
「涼はどう思う!?酒癖の悪さなんて、直しようがないと思わない!?」
「確かにね」
「そうよね、そうよね!?うわあぁぁん!!」
・・・いや、単にお酒の量を減らすとか、酔うまで飲まなければいいだけの話だ。
だけど、そんな事言う勇気、僕にはない。
言えば僕の命がいろんな意味で危ういからだ。
「あたしをわかってくれるのは涼だけ!大好きよ、りょうぅー」
「あーあ・・・せめて着替えてから倒れてよね・・・」
丸まったティッシュをゴミ箱に捨て、姉をベッドに運び、メイク落としで丁寧に顔を拭いてやる。
これが、僕の日課のようなものだった。
僕のこの優しさが、姉の癒しなんだとか。
身内以外にこれを望む事がまず許されないと思うが、どうだろう・・・
「おやすみ、姉さん」
「んー・・・」
静かに部屋から去り、僕は静まり返った嵐の後の室内でコーヒーを飲んだ。
「ふぅ・・・」
幼い頃から仲が良かった僕ら。
姉は「きょう」、僕が「りょう」と、一字違いという事もきっと関係していると思う。
親も考えて付けたものだ。
そんな関係は崩れる事無く今まで生きてきたけれど、僕だって恋くらいしたい。
そう思った中一の初恋は、ものの見事に砕け散った。
姉の言っている事が少し理解でき、僕は姉が無事に結婚し、子供が生まれるまでは恋愛はしないとまで
思ってしまったくらいだ。
それくらい、僕は姉が大好きだった。
「神様・・・どうか姉さんに姉さんを受け入れてくれる恋人を」
月を見上げ、僕は毎晩そう願っている。
はたしていつ、その願いは聞き入れられるのだろうか・・・
「涼ー!!!大変なの!」
「お帰りー。今日は姉さんの大好きなハンバーグ」
「んな事より!喋る犬よ!!」
「・・・はい?」
姉さんが指をさした背後にいたのは、牛柄の大きな犬だった。
ラブラドールくらいの大きさだろうか、そっぽを向いていて、悪いが可愛さのかけらもない。
「しゃ、喋ってないけど」
「喋ったのよ!帰りに、おれを拾えって!!」
「あ、そう・・・」
「信じてないわね!ちょっと牛犬!なにか喋りなさいよ!」
姉の叫びに全く反応を見せない牛犬は、大あくびをして横たわった。
偉そうなその態度に、姉は怒りを通り越して泣きそうだ。
「本当なの!さっきは、あたしに・・・」
『やかましい。無駄だ』
「え・・・」
『その小僧には、おれの声は聞こえん。何故かお前だけにしか聞こえんのだ』
「・・・姉さん?どうかしたの?」
突然犬を凝視して動かなくなる姉さんの肩をゆする。
牛犬は相変わらず横たわったままだ。
『のどが渇いた。水をよこせと小僧に言え』
「り、涼・・・牛犬に水をやってくれる?」
「水?」
『牛犬ではない!おれの名は・・・』
「ヴィラン・ルーリ?なんか難しい名前付けたね」
「あたしじゃない、コイツが名乗ってんの!」
「へぇ」
「馬鹿にしてるでしょ」
「だってさぁ」
どう考えても、信じられるはずがなかった。
水を飲んでいる牛犬をじっと見つめ、姉は一人で喋っている。
振られすぎておかしくなってしまったのだろうかと本気で心配してしまう。
「・・・涼、あんた今日の朝思いっきりすっ転んだでしょ」
「え?」
「しかも何事もなかったかのようにそのまますたすた歩いて、周りに人がいなかったかチェックまでして。
ひざ、怪我してるんでしょ」
「ちょ、見てたの!?」
「コイツがね」
姉は牛犬を指差し、僕をまっすぐに見つめた。
「ねぇ、涼。あたしだって嘘みたいと思ってるの。だけどわかるのよ。 お願い、信じて・・・」
あまりに真剣な表情に、僕はため息をついた。
牛犬は相変わらず不貞腐れたような表情を浮かべている。
「・・・ヴィラン?」
ぴくりと反応し、鼻を僕に向けてきた。
「・・・気安く呼ぶなって」
「はいはい。すみませんねぇ」
苦笑しつつ、僕はぐしゃぐしゃと頭を撫でた。
気安く触るな、とか言ってるんだろうな。
「気安く触るなって」
「はいはい」
やっぱり。
「姉さん、僕だってまだ信じられないけど、姉さんの事は疑ったりしないよ。もう、信じるよ」
「本当!?」
「僕が信じなきゃ、誰も姉さんを信じる人がいないじゃんか」
「涼ぅーっ!」
『虚しい女だ』
「黙って!」
「ぷっ・・・あははは!!」
一人芝居のようで、だけど愛しくて。
この牛犬が、これからどんな事を姉にもたらすのか・・・
僕は、最後まで見届けたいと思った。
「そういえば涼、あたしね、同じ職場の後輩に告白されたの!いい感じなんだけどねー」
「そうなの?おめでとう」
『やめておけ。そやつ、マザコンだぞ』
「え!?」
「・・・え?」
会話に加わるいい方法、募集中・・・